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弓月 舞 after story 集
第3章 もしも企画《 教師編 》第一弾
市ノ瀬はやはり無表情だ。
だが柚子の目は、そんな彼の大きく上下する喉元に吸い寄せられた。
なぜだかそこに…彼の動揺の全てがつまっている気がした。
「先生…あの…」
だから改めて、聞いてみたくなった。
「どうして、わたしにキスをしたの…?」
「……っ、不味いな」
答える代わりに
市ノ瀬は彼女を自身の胸に強く引き寄せた。
“ このままだと、…教育委員会に訴えられるのも時間の問題だ ”
「ちっ、あいつの狙い通りか」
「……//」
「…仕方ない」
頭の上で何かぼやいている。
けれど…逞しい身体に抱き締められた柚子は、ただ顔を赤くする以外に何もできない。
──…夏の空も少しずつ暗くなってきた。
早く、補講を再開しないと…プールの水が冷たくなってしまう。
“ 先生…、なかなか離してくれないな… ”
けれど彼女を包む水がどれだけ冷めてしまっても…気になんてならないくらいに
柚子の胸は、沸騰したように熱く激しく──
押し付けられた胸板から伝わる、彼の鼓動と重なっていた。
もしも企画《 教師編 》第一弾(完)