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弓月 舞 after story 集
第4章 もしも企画《 教師編 》第二弾
「…それで用件は?」
「そうでした。実は…私の愛するレベッカが屋敷で体調を崩したと」
「……」
「…付き人から、報告を受けまして」
「付き人?」
市ノ瀬は回転椅子に座ったまま、窓のほうに目を向けた。
カーテンの隙間から校門が見える。
そこには一頭の白馬と──その背にまたがるひとりの男が控えていた。
“ …ハァ…何だあれは ”
「──…それで?」
「ぜひ貴公に、レベッカへ処方する薬を譲って頂きたく」
「馬鹿か。内服薬など渡せる訳がないだろう…っ」
論外だった。
市ノ瀬はクロードの要求をあっさりと断り、彼に向き直ると冷たく睨み付ける。
「そもそも俺は、髪の長い男は根本的に気に食わない」
「…それはそれは…落ち込みますね」
「先生ー、それ、差別ですよ」
「ふっ、…区別だ」
口をはさんできた零を鼻で軽く笑い
市ノ瀬は持っていたボールペンを、ペン立てに放り投げた。