この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
弓月 舞 after story 集
第5章 サディスト兄弟 釣り日和
スミヤ「沈められるのは勘弁だから、糸を切ろうか」
カルロ「待て」
スミヤ「なんだい?兄さん」
カルロ「……秋刀魚の代わりにキャビアというのも、悪くない」
スミヤ「え…っ」
ハルト「はぁ!? この状況でふざけんな!」
( 揺れる舟 )
( 何かが舟底に体当たりしている )
カルロ「網をかしなよ。ダルいが……手伝ってやる」
スミヤ「……、兄さんが自分から動くなんて…!! 」
ハルト「確かに珍しいぜ……!! いや、関心してる場合か?」
カルロ「静かにしろ。急所を狙えない」
ハルト「そもそも網を持つ向き違うしな…っ。おい、言っとくがそれは銛( モリ )じゃねぇからな?」
スミヤ「…………。( キャビアってチョウザメの卵だよね?いま舟を襲っている鮫は明らかにもっと大きいけれど… )」
ゴン!
ハルト「ち!このサメ野郎、やる気( 殺る気 )まんまんだな」
カルロ「長引くと面倒くさい。…一発で仕止める」
ハルト「──ったく仕方ねぇな。今から秋刀魚を釣ることを考えれば、コイツを持ち帰ったほうがてっとり早いか」
スミヤ「…………。( そもそもあの大きさじゃあ、舟に乗せられないけれど )」
クスッ
スミヤ「──…まぁ、いいか」