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この出会いは…
第1章 最悪な出会いと最低な再会
あの満員電車。
まさか、あの後、痴漢に遭うなんて…

深いため息をつきながら、ソファーに座って身体を預けた。

彼女を家まで送って、待たせていたタクシーでそのまま帰宅して、今に至る。
長い一日だった。
思い返せば、昼間からずっとイライラしていた。
取引先がアポに遅れ、さらにはなかなか提案が受け入れてもらえず、予定の時間を大幅に過ぎたこと。
昼食を抜いて向かった次の取引先でも、相手の反応に手応えがなかったこと。
さらには、定時近くになってある案件の納期の遅れが判明したこと。
そのリカバリーに要した労力と時間は相当なものだったこと。
当社に非はなく、不可抗力なものだったが故に、余計に精神的に削られていた。
だから、改札で彼女を見つけて、社内報の話をしたとき、『皆さんの努力の結果をしっかり社内の人に分かってもらえるように、私も頑張りますね』と言われて、少し救われた気分になっていたのに。

まさか…
あの後、痴漢に…

ソファーに身体を投げ出して、頭を仰け反らせ、目を閉じると、真っ青な顔をして震えていた彼女の姿が浮かんでくる。
どうしてすぐに気が付かなかったんだ!
どうしてあの場で声を出して、彼女に恥をかかせてしまったんだ!
他にも方法はあっただろう!
痴漢したヤツにはもちろんだが、自分自身にも腹が立って仕方なかった。
昼間なんか比べ物にならないくらいイライラしている。
彼女は何度もお礼を言ってくれていたが、手を掴んだり、頭を触ったり、結果として俺は彼女を恐がらせただけではないのか?

はぁ…
もう一度深いため息をついて、ネクタイを緩め、風呂場に向かった。
風呂場から出てベッドに入っても全く眠れる気がしなかった。
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