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禁断の果実に口づけを
第12章 週明けの女達
女は常に安心を得たい、安全な場所を確保しておきたい生き物でもある。
自分を中心としたマウンティングの世界で最下位にならぬ様、やんわりと確かめたりする計算高さも備わっている。
対象人物が居ない場所で、密やかに確かめ合うから盛り上がる。
伊織や朋子が属するグループでも、秋山洋子の変身ぶりが話題となる。
ファミレスランチ会で日替わりランチのハンバーグを食べ、ドリンクバーをお代わりしながら、好き勝手な事を言いストレスを抜く女達。
✾✾✾
「ねぇ、見た?秋山代理!」
同じグループの佐藤翠(さとうみどり)が気になる話題を振る。
「本当よね、どうしちゃったの?」
みどりと仲良しの竹本真奈美(たけもとまなみ)が同調する。
「あのイメチェン?」
朋子も話に加わる。
「おばまるこちゃんカットから、いきなりショートだもんね!」
更に話を続ける翠。
「おばまるこちゃんって!」
真奈美が翠の発言にウケ始め、女達も後に続いて笑う。
いわゆる、『ウマイ事いうわ!私もそう思ってた!』
の了解の笑いなのだ。
「まぁ、少しはマシにはなった?」
毒舌絶好調の翠。
「あぁ、地味だったもんねー」
ワントーン落とした意地悪を言う真奈美。
「そうそう、地味臭と陰気な感じがミックスしたような感じだったもんねー」
更に追い打ちをかける翠。
「お金持ってんなら、早々とメンテナンスしたら良かったのにねー」
意地悪を徐々に見せる真奈美。
「外見だけじゃなく、内面もリフォームしたらいいのにね」
真奈美の同調があれば、更に加速する翠。
暫くは、翠と真奈美の秋山洋子ディスカッションで場は盛り上がる。
「ビフォーアフター的な?」
「いや、さすがの匠もそれは難しいのでは?」
女達は顔を見渡して笑う。
「ヤダーもう、性格は末期ですからね。難しいかもよ?」
「だね…
もう少し性格に可愛げがあればね……違うのにね」
「でも、案外、男の前では違うのかもよ?」
「えーぇー無理なんじゃないの?
アレじゃ…」
「そんな事ないかもしれませんよ?」
翠と真奈美の話を聞きながら、機嫌を損ねない様に会話に参加する伊織。
『ディスカッション盛り上げてあげますよ!
面白いですからね…先輩!』
「えっ?川端さん?」