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禁断の果実に口づけを
第14章 勃発
あの女の車のタイヤにナイフを突き刺した時、スカーッとしたわ。
憎らしい女がどんどん萎んでいく姿に見えたからね。
それに、秋山が車のパンクに気づいても、最初は誰もすぐには助けに行こうとしなかった。
ニヤニヤ笑って、心底は『ざまぁーみろ!』と思ったはずよ。
計算外だったのは、伊織やあなたが駆けつけてあげたこと。
あなたはただ突っ立ったまんまで何にも出来なかったけどね。
伊織があの女を真っ先に助けてあげるなんて、びっくりしたわよ。
でも、あの子が秋山に恩を売ったお陰で、怒鳴り声も落ち着いてきたでしょ?
人間はね、弱いの。
秋山みたいな女は、嫌われている自覚があっても根底が腐っているから、どれだけ嫌われているのかを目の前で見せてやらないと効果がないのよ。
また嫌われたら、今度は誰も助けてくれないという恐怖を分からせてあげて孤独に追い込むの。
朋ちゃん…
あなたがここまで一人の人間を変える事が出来たかしら?
出来ないわよね?
あなたは自分が一番可愛い人だから。
一千万のご契約楽しみにしてるわ。
晴美は車を走らせ向かう先は、夫の入院する癌病棟。
一日の終わりに愛する夫の顔を見る事で、安らぎを感じるのだ。
寝たきりの夫のベッドに寄り添う事で自分を保ててきたのかもしれない…