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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
「…本当にご主人様を愛しているのなら、寄り添う努力からしませんか?
私が言うのもなんですが、こんな事をしたら益々夫婦の溝を作ってしまうのではないですか?
探偵まで雇い、証拠を握るという事は、夫婦の決定打を打つという事になりませんか?」
朋子は最期の抵抗とも思わせる様な言葉を優美子に吐いた。
「何を偉そうに!
あなたみたいな下品な女と逢瀬を繰り返して、骨の髄までしゃぶられた男にいつまでも愛情を持てるわけないでしょ!
あなたが欲しいのならあんな男あげるわよ!
横領までしておいて、言う事が図々しいんじゃないかしら?」
「私は横領なんてしてません!」
「風間の愛人だったんでしょ?
今回は一千万だったけど、またあなたと風間に引っ掻き回されるくらいなら、諸悪の根源を断ち切るのも妻の役目であり、会社存続の為でもあるのよ!」
朋子が逆ギレし、悔しさで言い返せば言い返す程、優美子が優位に立った。
証拠まで提示して、お客様である優美子は、今の現状を見る限り非はない。
朋子に夫を誘惑され、ラブホテルで逢引し、多額の保険に勧誘された。
保険外交員のタブーを朋子が犯してしまった事は明白だった。
「風間様、この度の事は本当に申し訳ありません。
所長が戻り次第、この件に関して相談させて頂き、然るべき措置を取らせて頂きます。
倉橋さん、あなたは女としても保険外交員としても間違ってます。
風間様に謝罪をするのが筋です。
間違いを謝れない女性は、私も下品で最低な女だと思います」
朋子は下唇をギュっと噛みしめていた。
「………どうも申し訳ありませんでした。
……けど、横領はしてません……」
と蚊の泣くような声で言うと、泣きながら応接室を飛び出した。