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禁断の果実に口づけを
第38章 素
ドアを開けると、カランとドアベルが響く。
メルシーという名のお洒落な喫茶店。
山小屋をイメージした様な店の造りで落ち着きがある。
青田は店のママと顔馴染みのみたいで、「あら、青ちゃんいらっしゃい。お祭りは見てきた?」と声を掛けられた。
「うん。
ママのパンケーキ食べに来たよ。
外は蒸し暑いからね、少し涼ませて!」
互いにニッコリと笑い、親しみのある挨拶をしてから席につく。
私はママに会釈をし、青田についてゆく。
さすがにドアを開ける寸前で握った手を離していた。
向かい合わせのテーブル席に着き、おしぼりとお冷を持ってきたママにアイスコーヒーと小倉のパンケーキを注文する。
「落ち着くでしょ?」
「はい」
「びっくりさせてごめんなさい。
でも、僕は結婚を視野に入れたお付き合いをしてゆきたいんです。
ちゃんと洋子さんに僕を見て欲しいから」
「青田さん……
苦しくなる前に話さないといけない事があります…」
「………はい」