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禁断の果実に口づけを
第8章 洋子もおだてりゃ、健気になる


 「あっ……洋子…洋子!…うっ…」

 私は一体何をしてるんだろう………
男の性器を咥えて舐めて、こんな奉仕をしてまでもシタいのか…?

 伸介に頭を抱えられ、『うぅ』と呻き声を上げたくなる程、口の中いっぱいに男性器を含んだ。
流れ出てくる淫汁を喉の奥に流し込む。
硬くなった性器を舐め上げ、上下する唇。
フェラチオをこんなに丁寧にした事なんてなかった。
勿論、こんな濃厚でハレンチなセックスもこの男と出会うまで知らない。

 でも、こんなにも自分を掻き乱される程、自分がおかしくなってしまう程、縋った事があっただろうか…?

 ない!
そんな事、自分のプライドが許さなかった。

 愛する者が去っていっても、私は自分を崩そうとはしなかった。
どうにもならない現実を恨み、人を僻んだ。
卑屈な精神地獄に堕ちていった。

 周りの馬鹿さ加減を嘲笑う事で自分を保ってきた。

 『バカをバカと言って、何が悪い?
こんなバカを周りが甘やかしてきたから、私が体裁を加えて、己のバカに気づかせてあげただけじゃない!』

 いつも、私を訝しがる人間にはそう跳ね返してきたんだ。

 今、私は一人の男に縋りついて女の欲望を晴らす為に言いなりとなった。
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