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鏡の中から…
第8章 始まり
「私は、幸せだから!」
夏海はそう言い、ニカッと笑った
至極…幸せそうな笑みだった
「人生を濃縮しちったけどね!
無駄に生きる日々よりは…良い!」
そう言うと、夏海は立ち上がった
「話はそれだけ!」
そう言い、雅龍に手を伸ばした
雅龍は夏海の手を取ると、立ち上がった
雅龍は夏海を腕の中に納めると
「大切にする
誰よりも愛す
この命が滅びるまで…
我は夏海しか愛さない」
と、家族に思いを伝えた
そして一礼すると…夏海と共に…
応接室から…出て行った
部屋を出る時…
啜り泣く声が…聞こえた
親不孝してる…
夏海は…涙を堪えた
選んだのは自分
泣いちゃダメ…
なのに…雅龍の優しい腕が…
夏海を弱くする
「泣きたいなら…
泣いてくれ…夏海…」
雅龍は…いたたまれなかった
家族の想いも…
夏海の…想いも…
それでも、雅龍は夏海を手離したくはないのだ
手離したなら…
死んでしまう…
もう離れては…生きては行けない
夏海は…雅龍の胸の中で…
涙が尽きるまで…
泣いた