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鏡の中から…
第14章 またね
挙式を終え
ウェディングドレスを脱ぎ
大切にしまう
継ぎに、このドレスが着られるのは
凰星の結婚式
大切に…大切に…
しまっておかなきゃ
夏海が着替えると、香住がドレスのケースを持った
そして帰路へ着く
控え室から出ると、雅龍が凰星を抱き上げて、夏海を待っていた
夏海は雅龍と凰星の側へ行き
凰星の頬にキスをした
「凰星、今日のママは綺麗だったでしょ?」
誇らしげに聞く
「凄く綺麗だった…」
雅龍が答え、夏海は笑った
「帰ろうか!」
「あぁ。帰るとしようぞ!」
仲の良い親子が…
連れだって歩き出す
春海は夏海に
「帰りレストランに行くからな!」
と呼び掛けた
「なら凰星は、お子さまランチね♪」
夏海は我が子へ話し掛ける
「ちょう…たべゆ…」
凰星が、たどたどしい言葉で夏海に応えた
「マァマァ~」
母の手を恋しがり…凰星が手を伸ばす
夏海は凰星を出してもらい、その腕に抱く
お腹を痛めて産みし我が子
大切な、大切な、命より大切な存在
愛してやれる時間の短さを考えれば
胸が痛み出す
「凰星、誰よりも愛してる!」
頬を擦り合わせ
我が子の熱を確かめる
腕にずっしり来る重みを抱き締め
夏海は歩き出す
母の愛を…
どうか…
忘れないで下さい
願い
夏海は凰星を抱き締めていた