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鏡の中から…
第5章 伴侶の儀式


夏海の目の前に…

苦しんで…のたうち回る人がいた

『…助けて…』

夏海を見付けて…助けを乞う

夏海は…動けなかった

何故なら


助けを乞う人間が…

這って夏海の方へ…押し掛けて来るから

魔物なら…躊躇せずに斬れる

でも、押し掛けて来るのは…

    人間

人間を……斬れる筈などない


夏海の動揺を…

手に取る様に感じる雅龍は

夏海を抱き締めると…

その眼を…隠した

「アレは人のカタチをしているが、人ではない!
殺らねば、殺られるのは必死
殺らぬのなら…此処でリタイヤするが良い」

此処で…リタイヤ?

冗談

此処でリタイヤする位なら…

こんな場所には来ないわよ

此処でリタイヤする位なら

神楽を捨てて…家を出ている!

リタイヤなんて出来るか!

夏海は、雅龍の手を外した



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