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エンブレム──奴隷契約編
第10章 裏切り
健闘虚しく圭介達は一回戦で敗北した。
スタンドで応援していた生徒達はその場で解散し家路についたが、麻美は圭介に会うため学園へと向かった。
午後四時過ぎ、さんざん泣いたのだろうか、目を真っ赤に腫らした野球部員達が続々と校舎から出てきた。
その中に圭介の姿を見つけた麻美は校舎脇から飛び出し圭介の元へ駆け寄った。
「今日は残念だったね……」
どんな言葉をかければよいのかわからず麻美は圭介の前でモジモジとうつむいた。
対する圭介も「あ……う、うん」と元気なく答えうつむくだけだ。
少し気まずかったが、こうして圭介と二人きりになると「これでようやく元の二人に戻れる」と、麻美はやっと安堵の気持ちを抱く事ができた。
「あのね───」
なんでもいいから声をかけよう、そう思い麻美が喋りかけた時だった。
「圭介君!」
と大きな声が後ろから聞こえた。
ふと、振り返るとそこには野球部のマネージャー「奈津美」がいた。
「あれ……?あ、麻美どうしてここに?」
圭介と一緒にいる麻美の姿を見た奈津美は何やら気まずそうに声をかけてきた。
「どうしてって……圭介君と──」
一緒に帰ると言いかけた時、麻美はハッと気づいた。
それは女の直感だった。