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エンブレム──奴隷契約編
第10章 裏切り
「奈津美こそどうしたの?」
麻美が尋ねると奈津美はチラチラと圭介の顔を見ながら「麻美にはもっと早く言うつもりだったんだけど……、私達今付き合ってるんだ」
「え?い、いつから?」
「一月くらい前かな。圭介君の様子がおかしいから話を聞いたら麻美と別れたって。それからなんとなく……、ね」
奈津美は顔を赤らめながらスッと圭介の手を握った。
まるで「もう私の彼氏だから」と麻美に見せつけるように。
「そ、そうだったんだ。ごめん知らなかったから私……、私は教室に忘れ物取りにきただけだから。ね?圭介君」
「う、うん……」
圭介は麻美から目を逸らし小さな声でうなずいた。
そんな圭介を見ても、不思議と麻美は哀しみも怒りも感じなかった。
ただ制服に隠れた麻美の胸がズキズキと痛むだけだった。
「じゃあね奈津美、圭介君と仲良くね」
ニコリと笑いながら声をかけると、麻美は小走りで二人の側から離れ、一人校舎へと消えて行った。