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エンブレム──奴隷契約編
第10章 裏切り

校舎に入ったものの、麻美には行くあてが無かった。
忘れ物を取りに──とは言ったが当然忘れ物などない。
麻美は一人、静寂に包まれた校舎内をウロウロするしかなかった。
「寂しいな……」
廊下の窓から顔を出し雲一つない青空を見上げると途端に虚しさが込み上げてきた。
この一ヶ月半、いったい自分は誰のために頑張ってきたのだろうか?
恋ってこんなに簡単に終わるもんなんだ──
と、麻美は一人感傷に浸っていた。
「うっ……」
突然、激しい胸の痛みが麻美を襲った。
それは紛れもなくアザだらけの乳房の痛みだった。
その時麻美は気づいた。
自分にも行くあてが一つあったんだと。

