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捨て犬
第11章 なんで脱がされてんの?
「こっち来て」


エミの手を引いて
奥の部屋に入り
俺はエミを
ベットに座らせた


「もう痛くないか?」

切れた指に
優しく絆創膏を貼ってやり
俺はベットにあがって
エミを後ろから抱きしめた


「お前さ…

もしかして
俺を喜ばせるために
セックスしたがってたの?

したいの?とか
して欲しい?とか

何回も聞いてたけど」




「あたし…

それくらいしか
出来ないから…

あたしがココにいるの

お金かかるから…」






はぁ……





やっべ、これは効く…





俺の喜ぶ顔が見たいとか
そーゆーんじゃなくて
お礼にセックスしてたって事?


鶴の恩返し的な?



最近
俺頑張るって
決めたばっかだけどさ

キツイな…


俺、切ないよ



「エミ

ちょっと俺の話聞いて。

俺さ

確かに飯もセックスも
うれしいよ

エミが好きだから


けどさ
エミがココにいてくれるだけで
うれしいんだぜ?

俺はさ
お前を奴隷にしてる訳じゃないよ

お前が好きだから
一緒に飯食ったり
何か買ってやったり
メールしたり

そんな事全部が
うれしくてやってんだよ。

エミが俺の為にって
色々考えてくれたのは
俺すげぇ嬉しいけどさ

ただ

ずっとココにいて

もっと
俺に甘えてくれたら




もっと嬉しいんだけど」




そう言ってエミの髪に
俺は顔を埋めた


本当は

『甘えてくれたら』

じゃなくて

『エミに
好きって言われたら嬉しい』

って言いたかったけど



言わなかった



誘導なんかじゃなく


エミが
心から
そんな風に思ってくれた時に


その言葉聞きたいんだ



俺。


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