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捨て犬
第15章 目、つむって・・・
食事が終わると
エミはいつものように
すぐに食器を片付け
洗い物が終わると
まだ
酒を飲んでいる
俺のところに帰ってきた
手を引いて
俺の前に座らせると
少し
俺にもたれかかって
甘えるエミが
可愛い
「エミ、お土産があるんだ」
「え?!」
エミはちょっと驚いた声で
振り向いた
「はい、これ」
そう言って小さな袋を見せると
エミが
口角を上げて笑った
うん
悪くねぇ
俺は
袋から土産を二つ取り出し
そのひとつを
エミの手のひらに置いた
「おそろいの
ストラップだから
携帯につけとけよ?」
「うん!」
エミは
すっげーうれしそうにして
目をキラキラさせ
じっと
ストラップを見つめる
あぁ・・・
俺、エミにプレゼントなんて
したことなかったんだっけ
誕生日のプレゼントは
炊飯器だったしな(苦笑)
そういえば
エミは
女の子らしいもの
何も持ってねぇ
クリスマスの時には
炊飯器とかじゃなく
何か女の子らしいもの
プレゼントしてやるかな…。
そんなことを考えてると
エミは早速
携帯にストラップを付けていた
「俺のもつけて、エミ」
「うん!」
器用にストラップを
付け終えたエミは
二台の携帯を
綺麗に並べてテーブルに置き
そして
嬉しそうに
ストラップを眺めていた
よかった
気に入ってくれて
こんなもんで
そんなに
喜ぶなんて
思ってなかったんだ
だから
エミが喜んでくれて
俺も嬉しかったよ
ほんとに。
けどさ
なんか切なかったよ
こんなんで
喜ぶ
エミの生い立ちがさ…。