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捨て犬
第16章 もう言うなっ
仕方ねぇから
久しぶりに
1人で風呂に入ると
妙に風呂が広く感じて
なんだか寒い

ゆっくり浸かってたいのに
間が持たねぇ

結局俺は
さっさと風呂から出てしまった


「もうでたの?」


「うん。1人じゃつまんねぇー」


「ご、ごめんね?」


「クスッ
いーよ仕方ないんだから。
あ、それとも…
やっぱり一緒に入ってくれる?」


って、また困らせてみる

「あ、それは……あの…」

そんなに嫌なもんなのか?
俺にはわかんねぇけど

「うそだよ。
エミが嫌な事は
俺、したくねーから」

そう言って
髪をクシュってやると
エミは
ホッとした顔で俺を見あげた

「ビール飲む?」

「ん?あぁ飲む飲む」

そう言いながら
俺がテーブルの前に座ると
エミは
急いで冷蔵庫へと向かった


「はいっ」

「さんきゅっ……あれっ?
わっ、どーしたの?
たっかいビールじゃん!!」

ビールと言っても
俺はほとんど
安い発泡酒しか買わない

それなのに
今日出されたビールは
値段の高い
いわゆるビールだった


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