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掌の官能小説
第15章 となりののりこさん
「入賞」の連絡が入った。

すると、いくつかの画商から連絡が来るようになった。
僕は非売品だということを度々伝え、作品展の誘いは受ける事にした。

紀子さんの絵は売れない…
手元から離したく無いと思っていたが、紀子さんの旦那さんの注文の品だから渡さなければならない。

出品したのは最初の絵で、紀子さんが乳房と股間を手で隠していたものだった。

これは紀子さんの旦那さんに渡した。

「おお…凄い…紀子のこんな表情…こんな表情をしていたな…僕のものになった時…」
遠い目をして旦那さんは言った。

「あの…こちらも、あるんですが…僕が持っていてもいいですが?」
断られたら、法外な値段を言って買い取れなくしてやろうと思ったのだ。

「紀子か?これ…こんな表情をするのか…」
旦那さんは4枚の絵を暫く見つめていた。

「こんなに…よくもこんなに描いてくれて…ありがとう」

僕は紀子さんとの身体の関係がバレて怒らせるかと思ったのだが、旦那さんは穏やかな顔をして絵を見つめていた。

「紀子が不憫で…私がいけないんだが…若い彼女を好きになったばかりに…」

「そ…そんな…こと」

「広い世界を見せてあげないと…新しい紀子の顔を作ってくれてありがとう。」
旦那さんは僕に礼を言った。

もしかして…気付いてる?

僕は旦那さんの方をチラリと目をやったが怒ってもいないようで…

「紀子を頼むな。いい女だろ?」

「は…はあ…」
僕は変な返事をしてしまった。



翌日、僕の家の玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けると、真っ白なフレアワンピースを着た紀子さんが僕に抱き着いてきた。

僕はまた紀子さんを描きだす事にした。





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