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掌の官能小説
第17章 いつも観てるよ
僕はこのコーヒーショップによく来ている。
いろんな人間が出入りをし、僕はその人間達を観察しながら、いろんな妄想をするのが趣味。

スーツを着たサラリーマンがコーヒーカップをテーブルに置き深いため息をつきながら宙を見つめていたり、ラフな格好をした男が文庫本を開き周りの喧騒をものともせずに文庫本に集中していたり、女性グループがひっきりなしに話しを続けていたり、大学生かと思うような人間がスマホと情報誌を見ながら難しい顔をしていたり…

僕はIT会社経営という肩書きはあるが、実のところ仕事は月に数回だ。
親の経営するアパートに住み、名ばかりのアパート管理人になっていて、経費を除く家賃収入を貰っている。
…よって暇なんだ、俺は。

だからこのコーヒーショップにはかなりの時間居座っていたりもするのだ。
しかし、ニートに近い暇人だと店員や周りの客に思われたく無くて、ボタンダウンのシャツにスラックス、上等な革靴を履き、スイスの高級腕時計をし、パソコンを持って来ている。
そしてパソコンを開き、ただネットサーフィンをしてるのだった。

国立の理工学部を卒業し、一流の会社に就職し、自分のやりたい事ができないからとひと月で会社を辞め…就活は一応したが、ことごとく断られ、とりあえず起業したが、仕事依頼はパソコンの修理のみで全く仕事が来ないのだ。

まぁ、そんな事はいい…
僕の隣に座った女…ヤバイくらい好みだ。
仕事か?パソコンを取り出し画面を見つめてる。

俺は自分のパソコンの画面を見る振りをし、横目で彼女を見ながら、妄想をしていた。

「あっ!えっ?な…ど…どうしよう。」

彼女は急に困惑な表情をし、パソコンの電源を入れ直したり、キーボードを何度も叩きだした。
かなりパニックになっているようだった。

気の強そうな綺麗な顔が泣きそうな表情になり慌てている…
何故か僕はゾクゾクした。

きっと彼女のこんな表情…普段とは違う顔を見たのはここのコーヒーショップにいる中では自分だけだと少し優越感が沸きだした。


「あの…何か…お困りですか?」
僕は彼女のパソコンを見ながら言った。

「え?あ…は…はい?資料を作っていたら…急に…ああ…あまり時間が無いのに…」
彼女も自分のパソコンを見つめながら困惑の表情をしていた。



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