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掌の官能小説
第20章 ロード
3日間の有休が取れた僕はロードバイクに野宿する荷物を積み込んだ。
仕事を定時に終わらせ、家路を急いだ。
昨日の夜、スケジュールとルートを考え、今夜出発を考えたのだ。

家に着くと妻がいつも通り黙って夕食を食卓に出していた。

「夕食を食べたら、出発するから。」
僕は妻の目を見ずに、食卓の料理に目をやった。

トンカツにキャベツ…
トンカツは好きだが、毎日のようにスーパーの惣菜の揚げ物の食事だといい加減ウンザリしてしまう。
千切りされたものを袋詰めされたキャベツを皿に盛られ、キャベツの水分は既に減り、パサパサだ。
味噌汁は、インスタントだ。
これはなかなか美味しかったりするが、お湯の量が多すぎたり少なすぎたりとしていた。

僕は妻が自室に入るのを待ちながらゆっくりと食事をし、妻がいなくなると半分はこっそりと捨てていた。

妻は専業主婦だ。
友達とランチに出かけたり、女子会といって飲み歩いたりしている。
だから多分、家で食事はしていない。

何故こうなったか…

子供を妻は欲しがったが、なかなかできずにいて、不妊治療に僕が積極的にならなかったのが気に入らなかったのだろう…
僕は自然の流れで、子供がいなければいないで妻と仲良くやって行こうと思っていたが、妻は欲しくて堪らなかったようで、そんな温度差から気持ちが離れてしまった。

僕は夕食の片付けをし、自分の部屋に行った。
そして着替えをし、妻の部屋に向かった。

「そうなの…旦那は今夜から留守になるから…うん。楽しみだわ。」
妻は誰かと電話で話しているようだ。
「愛してる。ああ、早く逢いたいわ。」

僕は耳を疑った。

愛してる?逢いたい?

男?


僕は嫉妬心よりも安堵の気持ちが強くなっていた。
妻から解放されたような感じがした。

トントントン
ノックをし、ドアを開けずに
「じゃあ、行ってくる。」
そうドア越しに言い、家から出た。

ペダルを踏みしめ、スタートだ。

2時間程走れば、峠の麓に着く。
昨日民宿に素泊まりで予約し、今夜はそこに泊まり、早朝出発。
平日だから宿は空いていた。

ペダルは軽く心はワクワクとしていた。




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