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掌の官能小説
第5章 あの日にかえりたい
産婦人科に行き、内診を。

「残念ながら流産ですね。年齢を考えたら…妊娠に辿り着いても、流産する確率が高くなります。…」

医者はいろいろ話しをしていた。
私は全然耳に入らなく、ただ「自分が殺したんだ…」そう思い
赤ちゃんに申し訳なく思った…

ほとんど綺麗に流れ処置は軽く済み、子宮収縮剤を貰い病院を出た。
スマホで水子供養のお寺を探し、そこに行き供養をして貰った。
涙が溢れ…

自分の軽い気持ちで命を授かり、
授かれば困り…
そして命が亡くなれば悲しみ…

自分勝手過ぎだ。


私は
「終わりました」
俊輔にラインを送り、お寺のベンチに座り込んでしまった。

もう歩きたくも無いし…

「終わった?何が?」
俊輔から返事が来たが、私は彼をブロックリストに入れた。

「あなたとも終わり…」

ずっと昔の過去の懐かしい彼への想いや
この間まで愛していた想いを
消し去ろうと思ったのだ。


流産からひと月経ち、心も落ちけそうになっていた時
家のまえに俊輔が立っていた。

私は驚いたが、そのまま無視をし出掛けようとした。

彼は私の手を取り車に乗せ、隣の市の山の中にあるラブホテルに連れ込んだ。

彼は私に泣きながら詫びていた。

彼の境遇も分かっていたし、動揺する気持ちも理解できた。
私は彼を恨む気はさらさら無く、愚かな自分に悔いていただけだった。


あんな事があったにも関わらず
私は彼との幸せな時間が忘れられずに
また会う約束をしてしまっていた。


もう、5年も月に一度は逢瀬をしている。

今日もこれから彼と会う予定だ。
今はピルを飲み、避妊をしている。


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