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掌の官能小説
第7章 踊り子
私が彼女と出会ったのは、駅前の桜の下だった。
出張でこの地に訪れたのだった。
駅を出ると大きな桜の木がありまだ五分咲きだったが、薄桃色の世界が目の前に広がり私はウキウキとした気分になった。
桜の木の近くに行くと一人の少女がフラメンコの衣装を着、ポーズを取っていた。
薄桃色の桜の美しさを消してしまうような、真っ赤な衣装だった。
私は約束の時間にまだ余裕があった為、駅前のベンチに座り彼女を見ていた。
日本人離れをした綺麗な顔立ちをし、後ろに束ねた髪の根元には真っ赤な薔薇が挿されていた。
どこか遠くを見つめてポーズを取っていた彼女は突然踊りだした。
いきなり激しく脚を出し、高いヒールの靴をカツカツさせた。
私が目を引いたのは、彼女の手に付けられたカスタネットだった。
両手に付けられたカスタネットを指先で操り、指の動きとは思えない程早くリズムカルに叩かれていた。
彼女の周りに何人もの人が集まり、彼女の踊りを見つめていた。
私はフラメンコの踊りを初めて見たので、彼女の踊りが上手いのか下手なのかさっぱり分からなかったが、
彼女の眼差しと、動きは気迫が感じられた。
踊る前の彼女は少女に見えたが、踊っている彼女は女に見えた。
私は暫く彼女の踊りを見つめていた。
彼女は動きが止まり、踊りが終わると人々は歩き出していた。
彼女にチップを渡そうと、チップ入れを捜したがどこにも無く、私は彼女に近付き500円玉を渡そうとした。
すると彼女は少女に戻り八重歯のある歯を見せ笑顔で、
「あ…そういうつもりで踊っていたんじゃないんです。」
とすまなそうに言った。
「ああ、そうなの?」
「ただ踊りたくてここで…あ…警察が…ありがとうございます。じゃあ。」
彼女は派手な衣装の裾を掴み、荷物を持ち走って行った。
出張でこの地に訪れたのだった。
駅を出ると大きな桜の木がありまだ五分咲きだったが、薄桃色の世界が目の前に広がり私はウキウキとした気分になった。
桜の木の近くに行くと一人の少女がフラメンコの衣装を着、ポーズを取っていた。
薄桃色の桜の美しさを消してしまうような、真っ赤な衣装だった。
私は約束の時間にまだ余裕があった為、駅前のベンチに座り彼女を見ていた。
日本人離れをした綺麗な顔立ちをし、後ろに束ねた髪の根元には真っ赤な薔薇が挿されていた。
どこか遠くを見つめてポーズを取っていた彼女は突然踊りだした。
いきなり激しく脚を出し、高いヒールの靴をカツカツさせた。
私が目を引いたのは、彼女の手に付けられたカスタネットだった。
両手に付けられたカスタネットを指先で操り、指の動きとは思えない程早くリズムカルに叩かれていた。
彼女の周りに何人もの人が集まり、彼女の踊りを見つめていた。
私はフラメンコの踊りを初めて見たので、彼女の踊りが上手いのか下手なのかさっぱり分からなかったが、
彼女の眼差しと、動きは気迫が感じられた。
踊る前の彼女は少女に見えたが、踊っている彼女は女に見えた。
私は暫く彼女の踊りを見つめていた。
彼女は動きが止まり、踊りが終わると人々は歩き出していた。
彼女にチップを渡そうと、チップ入れを捜したがどこにも無く、私は彼女に近付き500円玉を渡そうとした。
すると彼女は少女に戻り八重歯のある歯を見せ笑顔で、
「あ…そういうつもりで踊っていたんじゃないんです。」
とすまなそうに言った。
「ああ、そうなの?」
「ただ踊りたくてここで…あ…警察が…ありがとうございます。じゃあ。」
彼女は派手な衣装の裾を掴み、荷物を持ち走って行った。