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掌の官能小説
第8章 続・踊り子
私はリカを思い出していた。
しなかやな指の動き、張りのある肌、小さな吐息、不安気に見つめる瞳…

今月も妻の排卵日に義務的にセックスをしていた。
とりあえず射精を…
愛を確かめ合うセックスではなく、子供を作る為のセックスになっていた。

依然はなかなか射精出来なかったり、勃起不全で挿入さえ出来なかったりしたが、彼女に出逢ってからは彼女を思い出しながら妻とセックスをするようになり、以前よりも楽に射精できるようになっていた。

だが、なかなか妻は妊娠できなく、いよいよ人工授精を…という話になっていた。

私は子供が出来なければそれはそれでいいと思っていたが、妻は40歳を前に強く欲しがるようになっていた。



フラメンコを踊っていたリカからメールが届いた。

たまに彼女から近況報告のメールが来ていたが
今回はスペインに行く事になったと、連絡してきた。

バイトでお金を貯め祖母に会いに行くとの事だった。

私は不意に一緒に行くと返事をしていた。
ちょうど夏休みを取る機会を考えていたからだ。

私は妻には一人旅と言って行く事にした。



私は彼女の分も飛行機も宿も一緒に予約をした。

海外出張も度々あり、旅慣れていたのもあるからだ。
スペインも一度行った事があった。

しかし、仕事で行ったので観光などしていなく観光で訪れたいと思っていたのだった。



私は飛行場で彼女と待ち合わせをした。

なかなか来ず、私はやきもきしたが、何とか到着した。

「すみません。はじめてで…分からなくて。」
久しぶりに見た彼女は、前より綺麗になっていた。
ただ、そう見えただけだったのかも知れないが…

笑うと八重歯が出て一気に幼く見える。

「迎えにいけば良かったかな。」
私はチケットを持ち出国ゲートに向かった。


飛行機の席に座ると彼女は興奮していた。
飛行機に乗るのも初めてらしく、飛行機が動き出すと目を瞑り私にしがみついていた。

そして、飛行機が上昇するときには私の手を握りジッと椅子に張り付いていた。


私は本を取り出し読書を始め、彼女は映画を観ていた。

機内食を見ると彼女は目を丸くして見つめ、そして嬉しそうに食べていた。
私は食後にウィスキーを頼み、飲むと眠りについた。

彼女はずっと映画を観ていたようだった。

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