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第9章 2人きりのオフィス
気づいたとき、わたしの身体には膝掛けが掛けてあった。
普段わたしが使っているもので、椅子の背もたれにかぶせてあるので、きっと前田課長が掛けてくれたんだと思う。
そっと目を開けると、前田課長はデスクについて仕事をしているようだ。横顔が見える。
仕事中の前田課長。
ついこの間まで、わたしはこの姿しか知らなかった。
気がつく気配がないので、わたしはそのまま見つめていた。
長い指でキーボードを叩く。
缶コーヒーをすする。
さっき、あの指と口がわたしを…と思うと、また身体が熱くなりそうだ。
「好きだよ」と聞こえた気がした。
ぼおっとしてたから、もしかしたら聞き間違えかもしれない。
それを確かめる勇気もない。
しばらく静かな時間が流れた。
ふとこっちを見て、目が合う。
「起きた?」と聞き、ゆっくり近づいてきて、隣に腰を下ろす。
「すみません…まさか寝ちゃうとは…」
「うん、びっくり」
頭を撫でられる。
「腹減ったなぁ。何か食いに行く?」
「ふふふ、わたしも同じこと考えてました」
「よし、待ってて、片付ける」
席を立ち、デスクに戻る。
わたしは膝掛けをたたみ、少し乱れた服を慌てて整えた。
電気を消し、フロアが真っ暗になる。
少し前を歩く前田課長をの広い背中を見つめながら、後をついて歩いた。
普段わたしが使っているもので、椅子の背もたれにかぶせてあるので、きっと前田課長が掛けてくれたんだと思う。
そっと目を開けると、前田課長はデスクについて仕事をしているようだ。横顔が見える。
仕事中の前田課長。
ついこの間まで、わたしはこの姿しか知らなかった。
気がつく気配がないので、わたしはそのまま見つめていた。
長い指でキーボードを叩く。
缶コーヒーをすする。
さっき、あの指と口がわたしを…と思うと、また身体が熱くなりそうだ。
「好きだよ」と聞こえた気がした。
ぼおっとしてたから、もしかしたら聞き間違えかもしれない。
それを確かめる勇気もない。
しばらく静かな時間が流れた。
ふとこっちを見て、目が合う。
「起きた?」と聞き、ゆっくり近づいてきて、隣に腰を下ろす。
「すみません…まさか寝ちゃうとは…」
「うん、びっくり」
頭を撫でられる。
「腹減ったなぁ。何か食いに行く?」
「ふふふ、わたしも同じこと考えてました」
「よし、待ってて、片付ける」
席を立ち、デスクに戻る。
わたしは膝掛けをたたみ、少し乱れた服を慌てて整えた。
電気を消し、フロアが真っ暗になる。
少し前を歩く前田課長をの広い背中を見つめながら、後をついて歩いた。