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第15章 蜜夜の春

「…最初からもう、だったのに」
「え？」
「もう初めからこんなだったのに、そんな事されたらもっと…なってしまう」
「泉夏…？」
－何を？
肝心の部分がはっきりせずに、秀王は疑問を投げかける。
自分の返事をひたすら待つ彼に、泉夏は羞恥に堪えながら白状した。
「今度こそ先生に『はしたない』って、きっと思われてる。それだけでも十分恥ずかし過ぎるのに。なのに、先生がそんな風にしてきたら、もっともっとなってしまう。だから…やめて欲しい」
－先生にこれ以上、恥ずかしい自分を知られたくない。
泉夏は切々と語る。
あんなに切なくて苦しかった。
ようやく触れてもらえて嬉しいはずなのに。
素直に悦べばいいだけなのに。
なのにとてつもない羞恥と－『嫌われたくない』と思う自分がいた。