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第16章 永劫の春

「抱き締めてもいい？」
「もう抱き締めてるし！」
泉夏は相好を崩し、秀王の背に両腕を回した。
彼が笑った気配が、耳元でする。
更に強く抱き締められ、泉夏も負けじと彼に抱き付いた。
四年前はただ想像するだけだった、彼の温もり。
彼の匂い。
彼の息遣い。
彼の優しさ。
彼の全てを自分だけのものとして、こんなにも近くに感じてる。
そしてこれから先もずっと、感じていられる幸せ。

桜の季節が巡っても。
桜の季節がどんなに巡っても。
永遠に巡る季節と同じように、ふたりの季節も永遠に巡る。

また一片、桜の花びらがふたりに舞い降りた。







<完>