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桜の季節が巡っても
第15章 蜜夜の春
余裕のない時に限って、馬鹿馬鹿しい事を考える隙間が頭に出来る。
くだらないと分かっていながら、抽送の速度は低下する事はない。
「あ、ああ…っ」
初めの優しさは幻だったのかと思わせるような動きに、泉夏は悲鳴に似た声を上げた。
自慰をしているつもりなどまるでなく。
延々注ぎ込まれる快楽の行き場を、探っているに過ぎなかった。
乳房を滅茶苦茶に揉んで凌いでいれば、そこに彼の顔が近付いた。
右の小指の先に舌先が触れたかと思えば、温かな濡れたそれに舐められる。
驚き。
思わず力が緩めば、次は薬指。
口内に含まれ、指に彼の舌が絡む。
「は…ぁ…」
指先から伝わる新たな快感に、泉夏は痺れる。
一本ずつ施される丁寧なそれに、円やかな胸を掴んでいた手の力がいつしか抜ける。
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