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桜の季節が巡っても
第4章 予兆の冬
今朝のテレビ番組の星占いは、乙女座が一位だった。
いつもは順位が良ければとりあえず喜び、最下位だったらこんな占いなんて当たらないし-なんて、適当に受け流していた。
冬休み明けの今日もだから特別どうという事もなく、大学まで電車に揺られて来た。
いつもと同じ、いつのも通学風景。
いつもと同じ構内、いつもの教室へと続く廊下。
今日も上手に塗れた-自分自身の右手の爪を見遣りながら歩いている、いつもの日常。
去年の秋からずっとおんなじ薄桃色の。
あなたが褒めてくれた数少ない、思い出。
誕生日に麻衣からもらったネイルはとっくに使い切ってしまって、また新たに自分で買い足した。
あの日から毎日同じ色を、一刷毛(ひとはけ)に願いを込めて。
マニキュアの空瓶があと何本増えたら、この想いを重ねて塗らずに済むのだろう。
俯いていると気分も落ち込んでしまう-あえて顔を上げる。
一気に血流が上昇した。
鼓舞する心臓。
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