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桜の季節が巡っても
第5章 別離の春
涙で濡れた瞳を、泉夏は開いた。
ひとときの、夢の終わり。
頬杖を解き、汚れてしまった頬を指で拭う。
泉夏は桜の花を見上げた。
嫌いになれと言うのなら、あの日まで遡るしかない。
あのひとを忘れろと言うのなら、出逢ってしまった桜の日まで戻らないと。
あの桜吹雪の中での出逢いをなかった事にしないと。
ただの大学一年生と講義を担当する准教授として、大教室で会っていたなら。
好きになっていなかった?-くやしいけども、多分好きになっていた。
どこでどんな出逢いをしていても。
私はあなたに必ず一目惚れした。
そして絶対何度も恋を。
好き。
やっぱり好き。
大好き。
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