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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
駅から自宅までの帰り道。
九時過ぎの夜道は、どうしても心許ない。
街灯や家の灯り、自販機、擦れ違う車のライト-それらがたまに、足元を照らしてくれたとしても。
明々としたコンビニが見えてきた。
ここを過ぎると一気に暗さが増す。
人気も減り、特に夜は車もあまり通らない道となる。
間隔を空けて街灯が道筋を示しているとはいえ-正直、怖くないと言ったら嘘になる。
今から家にいる兄に電話して、迎えに来てもらおうか-そんな考えが頭を掠める。
コンビニで少し待たせてもらおう-寒くないし、安全だし、一石二鳥だ。
店内にいさせてもらうお礼に、お茶のペットボトルの一本でも買えば-連絡をしようと鞄からスマホを取り出しつつ、コンビニの入り口に足を運ぶ。
反対に、店から出てくる人物。
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