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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
そう思ってきているのに、不意に頭の片隅を掠めるのはあのひとの事。
もう逢わないと自分で決断した、あのひとの事。
あのひとはどう思っているのだろう。
あのひとは私が決めた事をどう思ったのだろう。
あのひとももう、思い出にしようとしているだろうか。
私とはこの間が最後だったと。
それとも-。
急に膝の上、握り締めていた鞄の中身が気になる。
私、なにやってるの。
どうして、気にし始めてるの。
自分で決めたのに。
来てるはずなんてないのに。
すぐ隣りに、いつも側にいてくれるひとがいるのに。
これからもきっとずっと側にいてくれるひとがいるのに。
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