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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
数分後。
部屋の扉が遠慮がちに二度、ノックされた。
ドアスコープで確認することもなしに、秀王は待ち構えたように鍵を外した。
祈るような気持ちで扉を開けると-果たしてそこには、彼女がいた。
今までの人生の中、これ程に恋焦がれたひとはいなかった。
そんなひとに、自分が出逢えるなんて思ってもいなかった。
それなのに、目の前に現れた。
それから、恋した。
そして意に反して、別れを。
その彼女が今また、自分の元に。
先程までの重く、辛い、感情はどこへ-秀王は愛しい彼女の名を呼ぼうとし、すぐさま口を固く閉じた。
半分程開けたドアを、横から伸びた手が全開にした。
彼女の隣りにいたが、隠れて見えなかったもうひとりの人物。
その人間を認めると、秀王の顔は僅かに強張った。
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