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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「…大丈夫じゃない」
弱々しく伝えると、秀王は不安そうに訊いてきた。
「嫌だった…?」
「…嫌って言うか」
-もうちょっと、優しくして欲しい。
願った泉夏の唇は、またしても彼に攫われた。
今度はとてつもなく甘美に、どこまでも優しかった。
秀王は泉夏の腰に手を回し、抱き寄せた。
「せんせい…」
彼の腕の中で呟けば、大事な宝物を扱うように温かな両腕で包み込まれた。
「泉夏-」
何度呼ばれても、嬉しい。
何度でも、呼んで。
これからもずっとずっと、呼んで。
「好きだよ」
-泉夏。
耳朶に向けられて囁かれた言葉に、まなじりに涙が滲む。
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