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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
繰り返し彼女の髪を撫で、次第にどうにかいつもの冷静さを取り戻してゆく。
ほっとすると同時。
次第に何も発してくれない腕の中の彼女を、不安に思うようになる。
その沈黙がどのような意味を持つのか計り兼ね-秀王は迷った末に切り出した。
「…そろそろ、帰った方がいい。家まで送って行くから」
ベッドサイドの時計を確認すれば、時刻は間もなく八時になろうとしていた。
「え…?」
泉夏は思わず訊き返してしまう。
今、なんて言ったの?
今、なんて言われたの?
聞き違い?
聞き違いでなければ-。
「女の子だし、暗くなるほど危なくなってしまうから」
秀王は優しく諭し、彼女を支え、共に立ち上がった。
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