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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
彼の胸から顔を離して見上げれば、遠慮がちに唇を奪われた。
その心地良さに安堵し、泉夏は瞳を閉じる。
数秒後に離された時、意を決して彼女は問いかけた。
「…先生。私、少しは大人の女のひとに見える?」
秀王は質問の真意を解せず、僅かに首を傾げた。
「先生が抱き締めたいとか、キスしたいなとか…その、色々思うくらいには私、おとなの魅力がちょっとは備わっているのかなって」
自分で訊いておきながら-泉夏の声は忽ち消え入りそうになる。
羞恥に、真面に彼を見ていられない。
「泉夏の目に、俺はどう映っている?」
そんな泉夏に、秀王は逆に質問を返した。
どう答えればいいのか惑っている間に、最高に刺激の強い一言を放たれる。
「泉夏に、最高に欲情しているように見えない?」
泉夏の胸は瞬時に打ち抜かれる。
こちらを見詰める彼の双眸は-自分への燃えるような恋情が、確かに秘められていた。
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