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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「そんな可愛い声も出さないで-」
-さっきだめだって言ったはずだ。
彼女に向けて発した言葉は、自分自身への戒めのそれでもあった。
だめなのだから。
だからこれ以上は、ほんとにだめ-。
「…だめ」
-可愛いって言ったら、だめ。
触れ合う彼女の唇が囁いた。
「かわいくなんか…だから何度も言わないで」
-恥ずかしい。
懇願する泉夏の頬に両手で触れ、その唇は秀王が攫った。
「…だめだ」
彼女との口付けを交わした後(のち)。
恍惚とした表情の泉夏を恋慕の眼差しで捉まえて、秀王は吐露した。
「可愛いものは可愛い。言わずにはいられない」
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