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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
ベッドサイドランプの灯りに縁どられた部屋。
寝台の上に蠢くふたつの影。
荒い呼吸で求める度に、濃厚な空気が辺りに満ち。
悩ましい吐息で応える度に、忽ち室内は熱を帯びる。
大袈裟じゃなく、火傷を負ってしまったんじゃないかと思った。
耳朶に。
首筋に。
躊躇いがちに触れてくる唇は-熱かった。
その焼けつくような熱さは、喉を僅かに吸われた瞬間に極限まで達した。
あまりの切なさに強く彼に縋った。
もしかしたら、爪が立ってしまっていたかもしれない。
それほど熱くて堪らなかった。
思わず漏らした声に、彼は顔を上げる素振りをした。
しかしそれもほんの数秒後。
息を潜めていれば、再び彼の口唇は首筋に触れた。
自在にそこを這い始めた彼に、もう全てを任せるしかなかった。
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