この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
優しい愛には棘がある
第2章 Moon crater affection





「……いづる?」 


 月子の戸惑いを訴えるような声が揺らいだ。


 泣いていた。

 ずっと抑えてきたものが、今になって抑えられない。安らかな毒が逃げてゆく。



 いづるはあまりに自分に似ている少女を愛した。

 それでいて、似ていない。だから安らぎを見出すのか。


「なん、でも、ない……何でも……」

「何でもないことないでしょ」

「ごめん」

「──……」

「私は月子が好きだから、……ごめん」

「…──っ、それ……」



 好きだ。大好きだ。同じ傷を抱えた同志だからではない。

 もし月子を愛せるなら、今日まで怖れてきたどんなものも、きっと弾き返せる。この想いをせめて月子が許してくれたら、きっと世界は色を変える。


 いづるを選んでくれなくて良い。

 ただ、この優しい人を愛していられたら。



「ごめん。好きになって、ごめん……月子」

「あ……ああ……」


 いづるの背に、細い腕が被さってきた。上体が月子の柔らかな胸に沈む。



 ただ、この夢にまで見た抱擁に、やはり特別な意味はない。







第2話 『Moon crater affection』─完─
/63ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ