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優しい愛には棘がある
第3章 Fairy land
「なしろ様が……フェアリーランドを見せてくれた」
「真宵……」
「なしろ様や、皆が、違うって言っても……ここは私の本物です!なしろ様のくれるものは、嘘でも夢でも幻でも──…っ!?」
真宵の息が彼女の中に戻っていった。
なしろは、その唇を塞いでいた。
二人、果てないようなキスを交わす。
一秒でも長く生きていたい。
このぬくもりを感じていたい。
なかったはずのフェアリーランドを、今なら感じる。
真宵がなしろの妖精だった。
口づけが、どんな砂糖菓子より柔らかだ。
世界さえ綺麗に晴れ渡る。
あらゆるものを許せる気がしながら、ゆっくりと、なしろの意識が深いところへ落ちていった。
第3話 Fairy land─完─