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一族の恥
第1章 お母さんへ
 お母さん。

 
 ぼくな、あのときのことはな。
 死ぬまで誰にもな。
 もちろん、里奈子にもやぞ?



 ほんまのことは一切喋らんと黙っとこ思ってたけどな。



 もし、お母さんまでぼくが悪い思ってるんやったら、ぼくは死ぬに死に切れん。
 近い将来、まともな人間たちが創り上げた幻想の中の正義に、短い生涯を閉じられる身として、そんなやり切れんことはない。




 俺はな、もう、たらふく酒を飲んだんや。
 バイトにあげたってって言われとったぶんも飲んだった。
 これ以上、もう言い訳はいらん。




 なぁ、美津枝。
 あんたは龍二を生んだ女や。



 康生も、もう17歳や、時効や。
 あえて教えたるわ。



 龍二をあんな気違いに育てた責任や思って、よお聞けよ。




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