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The one …ただ一人の…
第12章 最強のライバル?
4月に入って、1週間が過ぎ、秘書の山下が言っていた事が良くわかった。
昼間は曄良に連絡する時間も取れない。
昼メシさえ、顔合わせと称した食事会で、つぶされていく。

『おい、山下、頼む5分休憩。』
「わかりました。次の会議が15時からなので、10分くらいあります。」
『ありがとう。』

そそくさと、休憩スペースへ携帯を抱えて入っていく。
曄良からは毎日お昼に留守電が入ってる。
オレが頼んで入れてもらっている。

「日向?お仕事お疲れ様です。もうすぐ仕事始まって1週間だね。早く会えるといいな。なんて、山下さんに怒られちゃうかな。夜、疲れてなかったら、電話してね。じゃ、日向頑張れ!あと、大好き。じゃね。」

泣きそうだ。曄良に会いたい。今すぐに抱きしめたい。あーー!

「大丈夫ですか?」
山下がコーヒーを淹れてくれる。
曄良の言った通り、ちょっとイラっとする事もあるが、山下は素晴らしく優秀な秘書だった。

『曄良不足で死にそうだ。』

ははっ。それは大変ですね。曄良さんは日向不足になるんですかね?
なんて言いながら、次の会議の資料を整えている。

『あんたは大丈夫なのか?』
「えっ?曄良不足?ですか?」
『アホか?体調だよ。オレに付き合って何時も最後まで残ってるだろうが…』
「大丈夫です。残業は慣れてますので。」
『あっ、そ。』
「でも、お心遣いありがとうございます。」

ふんと言って、山下から目を反らす。

ちょっと、イジメ過ぎましたかね。
と山下は心の中で思った。
最初が肝心と思い、本当に分刻みのスケジュールをワザと組んでいた。

曄良さんに会う時間を作らないように…。

私だって、曄良さんに一目惚れだったんです。全く。
山下は思い出していた。
初めて、山下があった曄良の事を。
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