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The one …ただ一人の…
第13章 トラウマの元凶
日向は、曄良を見つめた。
『曄良……式…挙げないか。』
「えっ?」
『仕事の目処も、もう少ししたら着くし、そろそろ……その…』
『一緒に住みたい。』
そう言って、日向は少し顔を赤くして、頭を掻く。
曄良は頬をピンクに染めて、日向を見つめる。
「…嬉しい……」
そう言うと日向の胸に顔を埋める。
そうして、2人で手を繋いで、抱き合いながら、深い眠りについた。


『痛いっ!』
もう少し、優しくしろ!
「はっ、こんな怪我してるのに、エッチな事するから、罰が当たったんですよ。全く。」
いつかの看護師長がプリプリ怒って包帯を巻いている。
日向は病院に来ていた。レントゲンを撮ると、肋骨と肩を骨折していた。
胸にコルセットを巻かれ、肩は湿布を貼って包帯で固定された。

暫くは、安静です。医師からはそう言われ、激しい運動は禁止された。もちろんエッチも禁止。
ダメだ。我慢出来る自信がない。

『何日?何日我慢すれば良いんだ。そっとすれば、大丈夫とかないのか?』
「はしたないですよ。副社長。」
山下は呆れた顔で、日向を見た。
とにかく、暫くお預けです。

そういえば、曄良は今日は休みじゃなかったのか?
そう山下に聞くと、
「今日は行く所があると言ってましたよ。」
『お前は行き先、知ってるんだ。』
「ええ、まあ、知ってますが。」
面白くないっ!そう言うと壁に八つ当たりした。
「嫉妬ですか?」
『お前、殴るぞ!』
山下は、肩を竦めて、慌てて診察室を出て行った。


病院の窓から、山下は青い空を見上げた。
曄良さん。お一人で大丈夫だったかな……一緒に行きたかったなぁ…。無事にお会い出来てると良いのですが。
そう呟くと、日向が大騒ぎしている診察室を恨めしそうに見つめた。

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