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The one …ただ一人の…
第14章 記憶
鎌倉の駅を降りると、海沿いを歩く。
その先に、その病院はあった。
受付に着くと、声を掛けた。
「あの、お電話入れてあった早瀬ですが。」
『ああ。はい、伺ってます。山野辺雪乃さんと面会ですね。』
曄良は、日向のお母さん、雪乃に会いに来ていた。
担当のカウンセラーの医師が案内してくれる。
『山野辺さんに面会の方が来るの久しぶりで…昔は良くいらしてたんですけど、雪乃さん、あまりお話されないから。』
「あの、あまりご家族の話はしない方が良いんですよね。」
特に制限はないのですが、、、
そう医師は言うと、庭へ案内した。
『今日は、体調が良いって、庭にいらっしゃるので。』
ベンチに座っている、その女性は少し白髪混じりの髪を綺麗にまとめ、庭の花を眺めていた。
横顔が、日向に良く似ている。
『雪乃さん、ご面会ですよ。』
雪乃はゆっくり此方へ顔を向けた。
ニッコリ笑う。
「初めまして。早瀬曄良と言います。突然すみません。」
雪乃は曄良の顔をじっと見つめ、
『可愛いお嬢さんね……』
と言って、ベンチをポンポンとした。
『座って……』
「はい。ありがとうございます。」
曄良は不思議と緊張はしなかった。
母との事を思い出していた。
「綺麗な花ですね。いい香り…」
息を吸い込む。春の暖かい空気で、身体が満たされていく。
雪乃は、曄良の素性を聞く事もなく、ただ花を見つめていた。
『この庭、好きなの。』
「わかります。」
「あっ、スイトピー。」
『好きなの…?』
「あっ、亡くなった母が、好きだったんです。」
『お母様、亡くなったの?』
「ええ、私が中学の時、事故で…」
そう言うと、不意に雪乃が曄良を抱きしめた。
『寂しかったでしょ…』
「雪乃さん…。」
曄良は涙が滲む。
雪乃は曄良の肩をさすってくれた。
「すみません。何だか、雪乃さんと話してると、母を思い出して。」
『いいの。泣いて良いのよ。』
暫く、雪乃に肩を抱かれながら泣いていた。
その先に、その病院はあった。
受付に着くと、声を掛けた。
「あの、お電話入れてあった早瀬ですが。」
『ああ。はい、伺ってます。山野辺雪乃さんと面会ですね。』
曄良は、日向のお母さん、雪乃に会いに来ていた。
担当のカウンセラーの医師が案内してくれる。
『山野辺さんに面会の方が来るの久しぶりで…昔は良くいらしてたんですけど、雪乃さん、あまりお話されないから。』
「あの、あまりご家族の話はしない方が良いんですよね。」
特に制限はないのですが、、、
そう医師は言うと、庭へ案内した。
『今日は、体調が良いって、庭にいらっしゃるので。』
ベンチに座っている、その女性は少し白髪混じりの髪を綺麗にまとめ、庭の花を眺めていた。
横顔が、日向に良く似ている。
『雪乃さん、ご面会ですよ。』
雪乃はゆっくり此方へ顔を向けた。
ニッコリ笑う。
「初めまして。早瀬曄良と言います。突然すみません。」
雪乃は曄良の顔をじっと見つめ、
『可愛いお嬢さんね……』
と言って、ベンチをポンポンとした。
『座って……』
「はい。ありがとうございます。」
曄良は不思議と緊張はしなかった。
母との事を思い出していた。
「綺麗な花ですね。いい香り…」
息を吸い込む。春の暖かい空気で、身体が満たされていく。
雪乃は、曄良の素性を聞く事もなく、ただ花を見つめていた。
『この庭、好きなの。』
「わかります。」
「あっ、スイトピー。」
『好きなの…?』
「あっ、亡くなった母が、好きだったんです。」
『お母様、亡くなったの?』
「ええ、私が中学の時、事故で…」
そう言うと、不意に雪乃が曄良を抱きしめた。
『寂しかったでしょ…』
「雪乃さん…。」
曄良は涙が滲む。
雪乃は曄良の肩をさすってくれた。
「すみません。何だか、雪乃さんと話してると、母を思い出して。」
『いいの。泣いて良いのよ。』
暫く、雪乃に肩を抱かれながら泣いていた。