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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第9章 眠る男
そうだ、噂。ただの噂よ。
「わたしはその話、嘘だと思うな。スミヤさんとは昨日会ったけれど…すごく丁寧で落ち着いた人だったもの」
「スミヤに会ったんだ!…どう?どう?かなりの美形らしいね」
「…っ…ええっと、うん。とっても綺麗な人よ」
噂好きなその同級生は興味津々でミレイに尋ねてくる。
ミレイの方も、スミヤの姿を思い浮かべつつ答えていた。
包み込むような優しい声
談笑しつつ紅茶を飲む時の優雅なしぐさ──
“ そうだ。図書館に行けばいいってアドバイスもくれたんだった… ”
顔も名前も知らない探し人について話した時、図書館に行くといいとスミヤは教えてくれた。
“ せっかく教えてもらったんだ。今日のうちに行かないとね ”
「──…ねぇ、話変わるけど」
「んー?」
「図書館って何時までか知ってる?」
「たしか…8時だったと思う」
「あ…!時間ない!急がなきゃ」
ミレイは急に焦りだし、揚げ茄子をパクパクと口に入れる。
周りの男達は、いったい何に急ぎだしたのかと疑問を持ちつつ、彼女の皿があっという間に空になる様を見守っていた。