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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第13章 逃走

「銭湯付きの寮は聞いたことあるけど、さすがに露天風呂はな…」
そう呟いて、ナツは玄関側の扉を指差した。
「俺らの部屋なんてシャワーと、ちっさいバスタブが付いてるだけ」
「あ、あそこお風呂なんだ」
「…っそ、そうだけど…」
くるりと向きを変え、彼女に背を向ける。
「?」
「……ヤバ」
落ち着け、落ち着けよ俺!
それは駄目だろ
彼女が泣いていたのを思い出せ…っ。
「枢木さん、今日は不用意に部屋から出れないし」
「そうね」
「…先に風呂に入ってくれば?」
「いいの?」
「お、おう…」
ナツは上着を取って玄関に向かう。
「パジャマには…そのへんのシャツ貸すから…さ。……俺は外に飲み物でも買ってくるっ」
部屋から出よう、今すぐ出よう。
ドアノブに手をかけた時…
「久保山くん」
ミレイが彼を呼び止めた。
「なに?」
「いきなりごめんね…。ありがとう…」
「べつに大丈夫だから」
申し訳なさそうに礼を言う彼女は可愛かった。
いや、お世辞でもなんでもなく。
「…//」
顔をそむけた彼は部屋を出た。

