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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第13章 逃走

ピチャンと跳ねた中身がナツの顔に少しだけ散った。
「これ、君にあげるよ」
「……はぁ」
鼻に付くぐらいに差し出された缶を、状況の呑み込めないナツは両手で大人しく受けとる。
そして相手の顔をまじまじと見詰めた。
「だ、誰ですか……」
思わず敬語になってしまうのは、相手の余裕たっぷりな笑みに気圧されてしまっているからだ。
暗い外──
自販機からの明かりを正面から浴びたその男は
長い睫毛の影を目の下に落とし
その影の隙間から、色っぽいホクロをひとつ覗かせていた。
「そのミルクティー。あげたお礼に頼み事があるんだけどね」
「……っ」
「彼女の居場所…。僕に教えてくれないかな」
男のジャケットの内ポケット。
そこに収まった短銃が、ちらりとナツの視界に入った。

