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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

そんな穏やかな光景に、一匹の猫が。
“ 可愛いな、あの子 ”
猫を見つけたミレイは頬をゆるませた。
動物までいるなんて。本当に…ここが養成校の敷地の中だとは思えない。
白色の毛に黒い斑点模様のブチ猫だ。
野生の猫なんて珍しくて、彼女はもっと近付きたくて仕方がない。
すると…
ニャー
猫のほうから、こちらに近付いて来てくれた。
ベンチの方にとことこ歩いて来る。
ミレイは屈んで、自由に動かせる左手を差し出した。
猫は一度立ち止まり、差し出された手を見て首を傾げている。
“ おいで、おいで ”
声には出せないから心の中で彼女は呼び掛けた。
しかし残念なことに、猫はふいと顔をそらす──。
“ …っ、そっちは…! ”
そして猫が興味を示したのは、ミレイではなくカルロの履いた革靴だった。

