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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第16章 Mission.2 ~ 逃避せよ

ミレイに対してだけじゃない。
彼が何かに対して関心を向けているのを見たことがない。
“ … それが、無性に寂しい ”
──そんな事を考えながらミレイは蕎麦を食べ進めている。
しだいに左手で箸を扱うのにも慣れてきて、ミレイはちゃんと皿を空にした。
「ごちそうさま」
「……」
食べ終わったと彼に伝える代わりに、ミレイは手を合わせた。
カルロは意外にもまだ起きている。
頬杖をついて出入り口を見つめたままだ。
そしてミレイの食事が終わったのを確認して、ゆっくりと立ち上がる。
「そこを通せ」
「店を出るんですか?」
「…まだ、出ない」
奥に座ったカルロが座敷から降りようとするので、ミレイも一緒に出ないと彼が通れない。
それ以前に手錠のせいで離れられないのだから。
「おい、便所を借りるぞ」
靴を履いたカルロが厨房で休む亭主に声をかけた。
「はいはい、その奥にありますよー」
亭主は入り口とは逆側を指して答える。
「あ、お手洗いに行くんですね…」
“ じゃあ、わたしはここで待っておこう ”
「──…!」
と、忘れてはいけない。
もう一度くり返すが、カルロとミレイは離れられないのだ。

