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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第19章 気になるひと

殺害予告は別に珍しいことでもないが
DK-mind社のケースはかなり特殊だった。
「対テロ用に作られたご自慢の防御システムが、逆に利用されるなんてさ…。中からコンピューターを操作しない限り、安全には開けられないよな」
「久保山くんも詳しいのね」
「あそこの社長の警護はLGAが担当してんだろ?それはやっぱり気になる!」
「実は…──」
事件の深刻さを知っているナツを前にして、ミレイの口が無意識に開く。
「…実は、カルロさんがあの中に…」
「カルロ…?って、東城カルロ?」
「そう」
心配で仕方がない。
ニュースによれば、あのビルには爆破予告が届いているという情報すらある。
中の様子も知ることができない。
そもそも学園の外に出られない彼女にとっては、遠い異国で起こった事件にも変わりないのだ。
情報が少なすぎる──。
“ もっとわたしに実力があれば助けに行けたかもしれないのに ”
この閉ざされた敷地の中で、待つことしかできないなんて…。

